Experiment contents of Dr. Hans Jennyハンス・ジェニー博士の実験内容

振動と物理学による学問「サイマティクス」

音にはその音特有の形を作り出す性質がある一一。その観点に立って生涯を掛けて研究を続けたのが20世紀、スイスの医学博士で自然科学者のハンス・ジェニー博士です。

ジェニー博士は「音の振動が物体に影響を与え、形を作る」という現象を明らかにしたのです。ジェニー博士は音が作り出す形を見るために「トノスコープ」という装置を開発しました。この装置はスピーカーに振動板を連結させ、微細な粉末や液体、金属の削りくず、グリセリンゲルなど音が作り出す形を表示させるための媒体を振動板に置いて、その運動を観察する構造となっており、ジェニー博士は単音から複合音まで様々な音がどのような形を作り出すのかを研究しました。

その結果、ピッチを上げて板を振動させると、それぞれのピッチで調和のとれた模様が現れ、様々な有機的パターンを生じることを突きとめました。例えば、尖塔型カクラゲのような渦巻き、樹木の年輪のような同心円、カメの甲羅模様、シマウマの縞模様、ウニのような正五角形の星形、蜂の巣のような六角形のマス形などで、周波数が高ければ高いほど、また音の周波数を2つ、3つと重ねていくほどその模様が複雑になることも発見したのです。

さらにジェニー博士は、『音が細かく振動しながら成型するのは2次元模様だけでなく、音の組み合わせによっては3次元の立体をも成型すること』を発見。5つの周波数が重なったとき、平面ではなく、初めて立体的な音を作ることを発見したのです。

不思議なことに周波数を6つ、7つ重ねても立体にはなりません。きっちり5つの周波数が調和を保ったときにだけ、平面ではなく、3次元の物体が作り出されるのです。その5つの複合された周波数からは、珊瑚のような波形状ができたり、人間の背骨のような形状が浮かび上がることもあります。ある周波数を複合させると、まるで生きているトンボそのものの形が浮かび上がったりします。

その形状が作られていく様子は本当に神秘的です。しかもジェニー博士はそれが『一定の運動を行う』という驚くべき現象を発見しています。例えば、粉末をトノスコープで振動させると、粉の一粒一粒が常に細かく振動しながら、あるー定の2次元、あるいは3次元の形を成したり、ある一定の循環運動を行う様子が観察できます。

これは、取りも直さず、音のエネルギーがある一定の力場(エネルギー・フォース・フィールド)を発生させていることを示すものでした。この理論がマナーズ博士の音の研究に大きな影響を及ぼしたことは想像に難くありません。ジェニー博士は、こうした振動と物理学に関する学問を「サイマティクス」と名付けました。

ジョン・リード博士

1900年代後半には、英国の物理学者ジョン・リード博士が「音の視覚化」に成功しました。
彼は「サイマスコープ」という機械を使い、直径12mmの水滴に一定の振動を与え、固有の幾何学模様が立体的に作られていく様子を捉えました。この機械によって、音が周囲にもたらしている影響を目で見ることが可能になりました。癒しにも使われるイルカの鳴き声や、美しい音色のバイオリンの周波数を可視化したものもあります。
人の声も同じように波形を作ります。音の分野からマントラなどを捉えると、なぜ音が人体に影響を与えるのかが説明がつきます。どのような波形が心や身体に良い影響を与えるのかがわかるようになったのです。

サイマスコープが水滴に作り出す幾何学模様

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